エコリフォームのすすめ

全国商工新聞連載 2013年8月〜2014年1月  

 13 サッシは断熱の要

 アルミサッシメーカーは現在大企業数社に集約されています。一方ドイツなどヨーロッパではサッシメーカーはほとんど中小企業です。なぜでしょうか。
 戦後、住宅需要を満たすため日本では公営住宅や工場生産住宅を促進する政策を取りました。そこにアルミサッシが大量に採用され、街の建具屋は衰退していきました。
 同じ敗戦国であるドイツは、美しかった街の再生に取り組みました。ディテールの違う建物を再生するには職人の技は不可欠です。そこで街の建具屋は、より良いサッシを提供すべく激しい競争の中、成長していきました。
 
 僕ら設計者は、何の疑問もなくアルミサッシを設計に組み込み、国策に手を貸してきました。それをここらで反省し、手作りで性能の高い建物へと転換するときではないでしょうか。建築業界から地域循環型の経済を作っていきたいと思います。

米国製 木製サッシ

米国製 樹脂製サッシ
 
 アルミは熱伝導率が高く、鍋やラジエターなど熱を伝えるものには最適な素材です。それを窓枠に使うのはいかがなものでしょうか。断熱性能を考えるなら熱伝導率の低い素材で窓枠を作るべきでしょう。
 熱伝導率の低い素材で身近にあるのは木材です。木材で窓枠を作れば断熱性能の高いサッシが出来ます。
 木製のはめ殺しサッシをアメリカから輸入しました。U値1.3の断熱性能があります。現場に来て、見るとトリプルガラスを木製枠で固めてあるだけです。なんでこんな簡単なものが日本に無いのか不思議でなりません。
 
 屋根や外壁などの断熱を高めていくと、開口部の弱点が際立ってきます。サッシの断熱性能が家全体の断熱性能を決めることになります。リフォームする際には断熱性能の高いサッシに取り替えたいものです。
 ヨーロッパはもとよりアメリカでもトリプルガラスが主流になりつつあります。トリプルガラスは両面に熱線反射ガラスが使えるため、外からも中からも熱が反射され、ペアガラスに比べ断熱に有効です。ただ、日本ではペアが普及し始めたばかりで、トリプルは対応できていません。
 断熱性能にこだわってトリプルガラスのサッシを輸入するか、妥協して日本製のペアガラスのサッシを採用するかを選択するしかないのが現状です。最近は、輸入代理店が増えて、日本に在庫を置いているところもありますから、それを利用する手も有りでしょう。
 次回は海外から輸入するサッシについて知り得たことをお話しします。