エコリフォームのすすめ

全国商工新聞連載 2013年8月〜2014年1月  

  3 結露対策−マンション

 マンション住まいの方から結露の相談を受けたら「東の端ですかそれとも西の端ですか?」と訊きます。棟の真ん中の人が結露に悩むことはまずないからです。
 日本の鉄筋コンクリート造の建物は無断熱かそれに近いものですから、外気に広く面する両妻(東西の端の壁)の部屋が結露の問題が起きやすいのです。
 コンクリートに断熱性能は期待できません。おまけに比熱が大きいので熱くなったら冷めない、冷たくなったら暖まらないという困った代物です。その壁の内面にGLボンドという接着剤を使って石膏ボードを張り、ビニールクロスで仕上げるのが一般的です。中には石膏ボードもなくコンクリート面に直接ビニールクロス貼りというのもあります。
 サッシはコンクリートに取り付けられているので、コンクリートと同じ温度=外気温になっていますから冬になれば当たり前のように結露します。
 
 マンションの結露対策、簡単ではありません。賃貸であれば引っ越すのが最善策かも。そのときはなるべく真南に向いた棟を探し、最上階を避け、真ん中を選んでください。
 でも、分譲はそうはいきません。対策工事をしましょう。
 
 内装を全部やり直す場合は、外気に面する壁全部に断熱をします。吹き付け発泡タイプのものが簡単にできます。
 その際は、天井スラブや床まで1mくらいの幅で折り返しておくと効果があります。
 
 床天井を剥がさない場合は、壁と窓だけの対策になります。窓はサッシを替えることは出来ませんので、樹脂製の内窓を取り付けるのが効果的です。
 壁は内側に下地を組んで二重壁にし、壁の厚さの中で断熱することがよいでしょう。
 壁が剥がせないということになれば、上に張るしかありません。
 結露対策は表面温度が重要です。表面が室温に近ければ結露は発生しません。多孔質の表面を持った素材なら室温になじみやすくなります。代表格は木材=板です。あとは塗り壁なども効果的です。
 賃貸などで大きな工事が出来ない場合は、ビニールクロスを剥がして、石膏ボードの状態にし、その上に珪藻土やシックイなどの塗り壁を塗るだけでも効果があります。天然の板ならさらに有効です。
 断熱が不十分ですので根本的な解決にはなりませんが、板や塗り壁の表面は室温になじみやすく、また多少結露しても、吸湿性がありますので、一旦湿気を含み、乾いたときに放出してくれます。湿度調整にもなります。
 何の呼吸もしないビニールクロスに原因があったのか、と思うくらいに変わります。原因は断熱の弱さです。クロスに罪はありません。