エコリフォームのすすめ

全国商工新聞連載 2013年8月〜2014年1月  

 12 外壁を外張り断熱

 日本の建築は今まで省エネや断熱をあまりにも軽んじてきました。今も町中に建てられている建物のほとんどが欧米から大きく遅れた断熱性能しかありません。
 このシリーズで訴えていることは特別なことではなく、欧米で当たり前に行われていることを紹介しているに過ぎません。なぜ日本がそんなに遅れている理由は政策にあります。それを述べていると終わってしまいますから話しを本題に戻します。
 

EPSパネルを張ったリフォーム

木質繊維断熱パネルを張ったリフォーム

木質繊維断熱材(パヴァテックス)
 家には2種類あります。断熱の効いた一年中快適な家と、そうではない家です。
 「土壁の古い家だから」とあきらめていませんか。そんなことはありません。
 土壁には断熱性能はほとんどありませんが、天然素材です。調湿機能もあれば空気浄化機能もあります。結露防止にもなります。土壁の外に断熱層を作り、外気の影響を外側で止めます。そうすると、室内環境は安定し、土壁の良いところが前面に出てきます。夏はさらっと快適で、冬は結露無く暖かな家に変わります。
 だまされたと思ってやってみてください。きっと後悔はしません。やり方を間違えなければですが。
 
 外壁を剥がしたら、キチンと点検して、痛んだところは補修します。合わせて耐震補強もするべきでしょう。耐震補強の面で、耐力面材を張る場合も木の呼吸を妨げないものを選びます。構造用合板より、硅酸カルシウム系のものがおすすめです。防火もクリアします。
 
 外張り断熱はやはりボード型の断熱材が施工性の点で優位です。ただし木造の家でしたら木材の呼吸を妨げないものを選びましょう。例えば同じ発泡ポリスチレンの板でも、表面に膜が張ったものと、ビーズ法スチレンのように細かいすき間があるものがあります。
 前者は細菌などを嫌う施設の断熱には有効ですが、木造の家を長持ちさせるには不適です。私の場合、ビーズ法スチレン板(特号)を張り、グラスファイバーネットを樹脂モルタルで塗り込み、漆喰やアクリル系のもので左官仕上げしています。
 最近では、木質繊維断熱板の60mm厚を張り、同様の仕上をすることもあります。ビーズ法スチレン板は柔らかいので厚いものが張りにくいのと、下地の面材が必要です。その点木質板は厚みも十分だし、押したぐらいでは凹みませんので下地は木胴縁でOK、リフォームには適しています。この材料は断熱材の中では比熱が大きく、暖まりにくく冷めにくいという性質で、おすすめの断熱材です。
 次回から断熱の重要ポイント、サッシについてお話しします。