エコリフォームのすすめ

全国商工新聞連載 2013年8月〜2014年1月  

  9 屋根をふきかえるなら断熱も

 真夏、外気温より室内の床や机などの表面が熱くなっていた経験はありませんか。2階や平家など、屋根のすぐ下の部屋で起きます。これは屋根が熱くなり、屋根の裏側からの輻射(ふくしゃ)熱によるものです。実はわが家もそうだったのですが、屋根の断熱工事をしたら無くなりました。
 輻射熱とは赤外線による熱で、人体からも出ています。人が感じる熱は空気の温度と回りから受ける輻射熱で「暖かい」とか「涼しい」とか感じるのです。暑い部屋にクーラー全開にして温度を下げても、涼しくならないのは壁や天井から出ている輻射熱を感じるからです。
 省エネ温度設定で冷暖房効果を出すには、室内表面の温度を室温と同じにする必要があるのです。
 
 木造住宅の耐震診断で屋根裏に入りますが、オーブンの中のように熱い家があります。調査が終わり出ようとしたらご主人が点検口から顔を出し、下りられなくて蒸し焼きになりかけました。こんな熱い場所が家の中にあって良い訳がありません。
 
 屋根は「断熱」と合わせ「遮熱」も考えましょう。断熱は内外の空気の温度差が対象ですが、遮熱は赤外線対策です。日射で暖まった屋根葺き材の輻射熱を反射するのが目的です。ですから、屋根葺き材と野地板(のじいた=屋根葺きの下地の板)の間に赤外線を反射するシート(銀色が多い)を敷き、その下に断熱層を作ります。
 
 大きな平家のお宅で築40年、瓦がずり落ちそうになっていました。折角だからと耐震改修と共に屋根の葺き替えをお勧めし、改修することになりました。屋根瓦と葺き土を降ろしたあと、野地板の上に断熱のパネルを張ります。ビーズ法スチレン板50mmを採用しました。さらにそれを覆うように遮熱シートを張り、瓦を葺きました。
 釉薬の瓦を下ろして、いぶし瓦を葺き、断熱の要らない軒先は段差が出来るのでそれを利用して、ガルバリウム鋼板の一文字葺きにしました。外壁も新しくしましたので、外観は改修前よりグッと高級感が出ました。断熱性能は飛躍的に上がり、周囲の環境も良かったので夏は冷房いらずの家になりました。

木質繊維断熱材で屋根断熱リフォーム
 
 屋根の葺き替えは断熱工事の最大のチャンスです。やらない手はありません。上から張ることが出来るので施工が楽で、ムラも出来ません。遮熱シートはこのときしか張れません。
 先ほどの例はビーズ法スチレン板でしたが、板状の断熱材はいろいろあります。多くは発泡スチレン系ですが、木質繊維断熱板を使えば自然素材だし、比熱が大きいので暖まりにくく冷めにくい特徴もあり断熱だけではない効果が得られます。