エコリフォームのすすめ

全国商工新聞連載 2013年8月〜2014年1月  

 11 家ごと断熱で快適に


雨漏りでボロボロになったタルキ

タルキ間にEPS断熱パネルを施工
 なぜ、断熱リフォームをするのか、今一度おさらいしたいと思います。
 冬の寒さ、夏の暑さから室内環境を守る。冷暖房費を押さえる。もちろんそれは重要ですが、もう一つは「家を長持ちさせる」ということです。
 木造の家は木で出来ています。木の大敵は腐朽とシロアリです。それらは水気のあるところから浸食していきます。シロアリも水がなければ生きていけません。水の供給源は水漏れ、雨漏り、それと結露です。
 水漏れ雨漏りは修理で止められますが、やっかいなのは結露です。結露の原因は前に述べたように「温度差」です。室内の温度と壁など建物の部分に温度差が生じたときに、空気中の水蒸気が飽和状態を超え、結露します。部屋内なら拭き取ることも出来ますが、壁の裏側など見えないところで結露すれば、知らないうちに腐朽菌が発生したり、シロアリが住み着いたりします。
 そのような見えないところまで結露を防止するには、家ごとすっぽり断熱し、全体を室内環境に近づけるしかありません。
 
 鉄筋コンクリートの建物も温度差で痛みます。
 鉄筋コンクリートは熱膨張するので、毎日の温度変化で膨張収縮を繰り返し、細かい亀裂が発生し、その亀裂に空気や水分が入り込んでコンクリートの中性化が早まり、劣化していきます。
 それを防ぐには、コンクリートの外側を断熱材でくるむ外断熱が有効です。ヨーロッパでは常識になっていますが、残念ながら日本ではほとんど例がなく、無断熱に近い建物が建てられています。バルコニーなど出っ張りの多い形状も足かせになっています。
 
 鉄筋コンクリートは木造みたいに柱の間に断熱材を入れることが出来ませんので、木造と同じ断熱性能を確保するには、その分の断熱層を外側に作るしかありません。
 断熱を強化すると、まだほかに良いことがあります。
 家の中の温度差が小さくなりますから、脱衣場やトイレなど冷暖房しない場所もほかの部屋と温度が変わらないのです。脱衣場が暖かくなり「服が脱げない」ということが無くなります。トイレで急に冷えて倒れる、などの危険も減ります。家の中の温度差で亡くなる方がどれくらいいるでしょうか。
 
 外壁が痛んで補修が必要なら、最大のチャンスです。間違ってもパット××デリアとか、そのまんま△△などという上張りサイディングはダメです。外壁を剥がしてキチンと点検補修し、断熱リフォームをしましょう。