10 内装で屋根断熱
鉄骨の店舗を動物病院に改装します。さあどうしましょう。
屋根はルーフデッキという鉄板屋根で厚さは0.5mm、裏に薄っぺらな断熱材が張ってあるだけ、断熱性能は全くありません。金物屋だった建物で、これで良かったのかもしれませんが、改装後は人は働くし、客は来るし、入院室(犬・猫)もあるし、空調は必須です。このままではたいへんなエネルギーロスになります。
天井面で断熱すると、照明器具や換気扇、空調機器が取り付き穴だらけになり、上手く断熱できません。そこで考えたのが二重天井です。屋根下まで4mほどあり、高さは十分。天井の上50cmに厚さ20cmの断熱層を作ることにしました。北海道から仕入れた厚さ20cmの高密度グラスウールを上の天井にすき間無く敷き詰め、下の天井は断熱材を入れることなく普通に施工しました。壁にはセルロースファイバーを充填し断熱しました。
冬に古い病院から移転しましたが、効果覿面。面積は広くなったのに光熱費が格段に安くなったと評価をいただきました。
内装だけのリフォームの場合、外から工事が出来ません。特に屋根面は屋根の下で断熱層を作るしかありませんので、施工方法に悩みます。
断熱材にはグラスウールやロックウールなどのマット系のもの、発泡スチレンボードなどのボード系、セルロースファイバーなどの充填系、吹き付けて発泡するタイプがあります。
ボード系断熱材を屋根裏にすき間無く張るのは、まず無理でしょう。充填系は吹き込むところをすき間無く塞ぐ必要があるのと、充填層を作るのに手間が掛かるので現実的ではありません。残るはマット系か吹き付けになります。
グラスウールはガラス繊維なので赤外線を通します。その点屋根の断熱には不向きです。なぜ前述の例はグラスウールか、と思われるでしょう。
天然素材の発泡吹き付け断熱材
それは10年くらい前の事例で、屋根断熱を暗中模索している段階で、北海道で見つけた高性能グラスウールを使っている時期だったとご理解ください。今ならやっぱり、屋根裏に分厚く吹き付け発泡タイプを施工すると思います。当時は石油系の発泡タイプかロックウール吹き付けくらいしかありませんでした。最近では自然素材の発泡断熱材ができ、安心して使えます。
吹き付けタイプなら、凸凹した面でも多少すき間があっても、施工できますのでリフォームには向いています。またコンクリートにも付着しますのでマンションの結露防止にも有効です。