エコリフォームのすすめ

全国商工新聞連載 2013年8月〜2014年1月  

  2 結露が家をむしばむ

 耐震診断に伺ったお宅で、「何か困ったことはありませんか」と問いかけると、耐震とは関係無いけれど、と話されたのが「押入の中が結露する」ということでした。
 その押入は部屋に挟まれた位置にあり、北側や西側の冷やされる場所ではありません。
 「お母さん、暖房中に押入のフスマを開けてるんじゃないの」と言うと、驚いたような顔をして、「何でそんなことが解るの」。当たりでした。
 結露の原因は温度差で、結露するのは水蒸気です。空気が冷やされ、飽和水蒸気量(相対湿度100%)を超えたところから結露が始まります。
 「湿度」とは「相対湿度」を差し、その空気の飽和水蒸気量と比べて何%かを示します。やっかいなのは気温が違えば同じ%でも水蒸気量が違うところです。30℃の50%と気温10℃の50%では水蒸気量は3倍ほど差があります。その水蒸気量の差が結露を生みます。
 
 先ほどの例は、ストーブなどで暖房をしている部屋に洗濯物を干しておくと乾きます。その暖かい空気を押入に入れれば押入内が暖まって押入が乾燥すると考えたのでしょう。それが大きな間違いなのです。
 洗濯物のように軽くて乾きやすいように広げてあれば、室内の暖かい空気で洗濯物の水の分子が活発に動き、空気中に放出され洗濯物が乾きます。でも押入内には大量の収納物があって、それはそう簡単には暖まらず、押入内は寒いままですから、室内の暖かく水蒸気を多く含んだ空気が入り込めば冷やされて結露することになるのです。
 
 家を悪くする原因のひとつが水です。雨漏りが代表格ですが結露もバカになりません。
 結露は冬期に毎日起き、乾くことがありません。夏の冷房時には断熱の悪い壁の裏側に結露します。壁に結露すればカビやダニの原因になり、サッシに結露すれば、壁の中に水が入り込み、腐朽やシロアリの原因になります。
 結露は室内側だけに起こらず、壁の内面、サッシの外側にも起きますから、全く目にすることなく家をむしばんでいきます。
 
 また、結露は換気で防止できると思っている人が居ますが、冬の暖房時は有効ですが、夏は大きな間違いです。床下に外気の30℃を超す夏の空気を換気扇などで入れたら、温度差が10度以上有り、床下に水を撒いているのと同じです。
 繰り返しますが、結露は温度差が原因なのです。結露対策は室温と壁などの表面温度との差を減らすことを考えるべきでしょう。それが結果的に家を長持ちさせることにもなります。