NA.home通信 486号
9.Aug.2020

 旅行者には路面電車はありがたい。地図を片手に景色を見れば、その街の地理が解る。
 高知市電は十文字の路線で、北の端が駅、交点がはりまや橋、そこから東西に曲がったり、直進だったり、乗り換えたりする。
 熊本市電は西の端の方に駅、繁華街は東に結構行く。ホテルはその中間にあったりするので、夕食も市電で行く。レトロな車両なのにマナカが使えてとても便利。
 松山も西の端が駅で、東に行くと大街道という繁華街、松山城も近い。その点では熊本と配置が似ている。
 決定的な違いは、「坊ちゃん列車」だな。路面電車なのにSLだ。電車じゃ無いじゃん、汽車じゃん。終点の道後温泉駅まで行くと、人力で方向転換している。ディーゼルに改造され、白く吐いているのは煙では無く水蒸気だが、走っている姿を見るだけでも楽しい。荒川良々似の乗務員さんが笑顔で手を振ってくれた。
 
 これまで紹介した街は駅前から市電に乗ればだいたい同じ方に行く。ところが広島はそうはいかない。
 乗った市電、どうも走っている方向が違う。スマホで検索すると路線が多いことをこの時点で知り、このまま乗っていたら港まで連れて行かれることも。
 これはダメだ、ホテルに行かれない。
 戻るのも悔しいので、近いと思ったところで下りひたすら歩いた。時間からすると2キロ弱かな。蒸し暑い広島の夏、ホテルに温泉があって良かった。
 
 愛知県には豊橋にしか無い。というより豊橋にある、というべきだろう。利用客が少なそうな街で頑張っている。
 冬は「おでんしゃ」、夏は「ビール電車」。生ビール飲み放題という奇想天外の企画が良い。ここは豊橋鉄道が運営する私鉄だからこういうことが出来る。
 ビールでトイレが心配だが、折り返しの休憩で公園のトイレが使い放題。納得。また帰りも飲める。

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