NA.home通信 487号
30.Aug.2020

 趣味を訊かれて、「オーディオ」と答えるには憚られる。
 独身時代にローンで揃えた面々は、相次いで引退し、当時の面子はレコード針のカートリッジとスピーカー(SP)ユニットだけになってしまった。アンプなどの電気製品と違ってこれらは電気を使わないので、劣化がなかったと言うべきか。
 SPユニット達は自作のエンクロージャー(箱)に入っている。それは三代目でもう17年経っている。OSB合板製で如何にも仮の箱。今度の作り替えは年齢から考えて最後にしたい。
 
 いくら高性能のSPユニットでも、箱によって音が変わる。その形状、材質、取付の位置でも。それでいて正解が解らない。
 唯一計算出来るのがバスレフという低音域を共鳴させる穴だ。ビンの口を横笛のように吹くと。ボーと鳴る。この原理で、SPの後ろから出る振動を制御し音圧を向上させる。
 それは解るが今まで成功していない。
 大型の箱は相当な覚悟が無いと取り組めない。そこで先日、小型SPを作った。
 低音域は不足しているだろうから、ややストライクゾーンを上げ、箱の容量を小さめにした。低めを狙いすぎて空振りしたのでは意味がない。
 これが思った以上の成功を得た。バスレフの穴に耳を向けるとドスドスと締まった低音が出ている。これで自信が付いた。材料のヒノキフリー板も良かった。
 
 梅雨明けを待って材料を注文した。盆休み、細かい失敗をしながらも完成した。
 ヒノキの軽さが効いて前のモデルより10kg軽い29kg。問題は音だ。
 出たぞ低音。歯切れの良い音。
 妻から「音が綺麗になったね」とお褒めをいただいた。低音ばかり気にしていたが、中高音がクリアになった。何が良かったのだろう。
 まあ、解らんけど成功だ。40年以上かかってようやく完成したと言える。
 お疲れ様。ゆっくりいい音で楽しもう。

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