NA.home通信 483号
7.jun.2020

 勤労学生時代、安いコンポとFM雑誌が友達。
 雑誌に載っていた「長岡鉄男の自作スピーカ入門」。最初は意味が良く解らなかったが、連載が進むうちスピーカーが単なる電気部品ではなく、エンクロージャー(箱)と一体となって音を奏でる楽器のような物であることが理解できた。そこに載っていたバックロードホーンスピーカー。なんだこりゃ?。
 電気信号を空気の振動に変えるのがスピーカー。しかしそのエネルギーは殆どが空振りで1%以下くらいしか音になっていない。
 「フムフム」。
 そこにメガホンを当てると空振りが減って効率が上がる。前では無く後からも音が出ているから後ろの音にラッパを付ける。
 「ホントかよ」。
 シリーズの終盤には設計例が載っていたので、手頃な12mm合板で作ってみた。本当は15mm以上の厚みが必要だが、物は試し、作りやすさを優先した。
 ビス止めでは無く釘打ち、まるで本箱でも作るようだ。コンパネ、ニス仕上。ケーブルはターミナルが無いので直接穴を開けて通す乱暴なやり方。とりあえず出来た。Fostex FE203 バックロードホーンスピーカー。
 音を出して驚いた。音圧が高い。こんなにいい加減に作ったのに、バリバリ鳴る。コンポのセットのスピーカーでは聞けなくなってしまった。
 
 結果、スピーカー作りに嵌まる。最後はJBL D130という大物に取り組んで今に到っている。
 結婚を期に、一杯作った小型スピーカー陣は人に譲り大型のJBLだけ今も三代目の箱で鳴っている。
 
 久々にスピーカーを作った。40年ぶりの新作である。A3サイズで12cmフルレンジ2発入り、絶対売ってない形。
 年齢を重ねて作ったものはそれなりだ。ヒノキの無垢板で天然WAX仕上。事務所に最初からあるように溶け込んだ。
 やっぱり面白い。オリジナルサウンドで音楽を楽しむ。他人はどうでも良い世界だ。

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