NA.home通信 478号
23.Feb.2020

現状のレベル低さに愕然とした。
 昨年、建築物の省エネ法が改正され、来年4月から施行される。その概要を解りやすく解説して欲しいという依頼があり、巷で建てられている普通の家がどの程度性能があるのか計算してみた。
 
 省エネ住宅に取り組んで20余年になる。試行錯誤しながら狙った性能が出せるようになり、私たちが建てている家は改正新制度でも北海道で建てられる性能がある(註1)。
 地球温暖化のスピードが加速している。毎年のような豪雨災害や、オーストラリアの山火事、この冬の暖かさも気持ちが悪い。そんな中で建築物の省エネ化は待った無しなのである。ようやく政府の重い腰が上がったように見える。しかしその基準はたいへん甘いもので、現状に追従しているようにしか見えなかった。
 
 この法律での基準は外皮平均熱貫流率(UA値)と、夏期の平均日射熱取得率(ηAC値)である。後者はUA値と連動しているので、重きはUA値だ。
 当社が設計しているものは0.3台〜0.4台前半で、北海道の0.46以下をだいたいクリアする。しかしこの愛知の地域は0.87でOKなのだ。2倍くらい熱が逃げていく。こんな基準は甘すぎるだろう、と思っていた。そこで、解説を執筆するにあたり、近隣で建てられている家を見て計算してみた。
 今の家だから断熱材はグラスウール100mmは入っているし、床にも断熱材は入れるし、サッシはペアガラスだ。結果UA値0.94。えーっクリアしない。グラスウールの外が通気層だったり天井裏だったりすれば、断熱材が100%の性能は出ない。現状はもっと悪いのだ。
 
 世間の皆さんはこんな家のローンを払わされている。酷い話だ。
 歌舞伎役者のEB蔵さん(註2)、どんな宣伝してんだ。怒りがこみ上げてきた。

註1:建てるには凍害対策が必要。 註2:実名を伏せました。
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