NA.home通信 477号
2.Feb.2020

 修行中の私は月給で1枚LPを買うのが楽しみ。
 外は本降りの冬の雨、入口のガラスが白く曇っている。そこに黄色い合羽を着た小さな子とお母さんが入ってきて、「これこれ」と一枚取ると買っていった。
 レコード店には珍しい親子連れ、次々とやってきては同じレコードを買っていく。気になるので、シングル盤のコーナーを見た。
 何これ?「およげたいやきくん」。
 
 子ども向けの音楽は童謡?。童話・絵本の世界はかなり進んでいて芸術性の高いものも少なくない。その点童謡って、完成されていないジャンルかな。
 僕らの世代だと「ぞうさん」とか「チューリップ」とか。それが悪いのではなく、大人の都合で出来た歌のようにも思える。「手のひらを太陽に」は心に響く歌だった。作者は漫画家やなせたかし、子どもの心がわかっている人なんだろう。
 
 Foorinが歌って踊る「パプリカ」、歴史に残る名曲だと思う。
 イントロが始まった瞬間、踊りが苦手でも体が動き出す。幼稚園、保育園の子はみんな踊れるらしい。ついにアンパンマンマーチ(作:やなせたかし)を超える曲が現れたか。
 ファとシが無い日本人になじみ深い「四七抜き音階」をベースにゆったりとしたビートにシンコペーション。米津玄師は天才じゃないか。なんてしゃべっていたら、日曜夜の番組「関ジャム」で、ピアニストの清塚さんが、同じことを言っていた。
 こんな嬉しいことは無い。私の考えがプロに肯定された。いっぺんで清塚さんのファンになった。CD買おうかな。
 
 昨年末、「パプリカ」がレコード大賞に輝いた。納得の結果だ。この曲以外だったら承知しないところだった。
 子どもの歌では無く、年齢層を超えて受け入れられる曲。それこそ名曲だ。国境も越えて広がっていくだろう。


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