NA.home通信 449号
20.May.2018

 改修なった姫路城、他を圧倒するスケールに驚かされる。
 ガイドさんによれば、完成直後から補修改修の連続で、400年維持してきたという。たいへんな努力と資金が必要だったろう。

 お城は戦国時代と思いきや、多くは江戸時代のもので、明治の廃藩置県でたくさん壊された。明治政府が反逆を恐れたからだが、もったいないことをしてくれた。
 名古屋城も「徳川」だから、解体される予定だったが、城を持った旧藩主たちが声を上げて、名古屋城を守ったと聞く。それで国宝の第1号に指定された。
 国宝になったことで詳細な調査がされ、図面をはじめたくさんの資料が出来上がった。ウチにも本丸御殿の図面があるが、襖の取っ手や、長押の釘隠しまで図面になっている。この図面は建築士会から御殿の再建運動の資金に買わされた。要らないからネットで売ろうと思っている。
 
 図面があるから造りたくなる。気持ちは解らないでもない。どっかの市長さん。御殿が出来たから天守閣だって?、姫路城見たかな。建っているだけで金食い虫なのだ。文化財だから仕方が無いが、それを新築するって、狂気の沙汰である。
 「本物を見たぁだろう」と言われてもそれは本物じゃない。図面通り造ったコピーだ。
 本物というのはその時代の人が命をかけて造ったものを言う。住宅ローンを背負って建てた小住宅の方がよほど本物だ。
 どうせ重機や電動工具で造るのなら、現代と歴史とを合体した平和の象徴である天守閣にするべきである。それならコピーではなく「本物」になるのかもしれない。エレベーターを付けないなんて考えられない。訪れた人々が皆、笑顔にならなければ意味が無い。
 
 信長の安土城、秀吉の大阪城、家康の江戸城、○○の名古屋城にしてはならない。

HOME   LIST   448号  450号