NA.home通信 412号
13.Mar.2016

 春は半田市内はお祭のシーズン。節分過ぎると待ってましたと地元の方が寄付を集めに来る。亀崎で年行司という役を受け、経験があるので気持ちよく出させていただいている。
 昨年秋、亀崎の棧掛祭(はしかけさい)に合わせたイベントの手伝いで、望州楼さんの旧店舗の前で看板(法被)着て立っていると、いろんな人から質問された。
 その日は空の山車鞘にお店が出ていて、フライドポテトなどを売っている。
 質問の要点をまとめると「何で鞘の中に山車が無いのか」ということだ。
 それが当たり前だと思っている私には、疑問の主旨が解らず、トンチンカンな答えを返していた。何人目かの質問でようやく解った。
 「犬山のように山車は無いの?」。
 そうなんだ、観光客は山車を見たくて亀崎に来ているのに、山車が無いのである。「どうして無いの」と聞かれ、丁寧に「祭の2週間前に組み立て、祭の翌日に解体し、彫刻などは箱に入れ、蔵に仕舞っています。」と答えたが、不満げである。
 
 山車の組み下ろしもそうだが、お祭りの前後もなかなか良いものである。毎晩お囃子の稽古が聞こえ、終わった翌日は打ち込みといって、提灯を点けた行列がそろいの衣装で笛太鼓のお囃子で町を練り歩く。祭の年度が変わって新しい車元さんへ神器を持っていく儀式だが、近い場合、回り道をするし、5組ほぼ同じ時刻に行うので、結構賑やかで見応えがする。
 お祭りはたった二日間だが、地元は2週間以上やっているのだ。半田市は観光客増を狙う方針らしいが、こういうところまで見せたら集客増が見込める。組み上げの日程を公開して、山車が鞘に入っている中の土日は扉を開けて見せる、など、祭を二日間で終わらせない工夫も必要だ。
 祭は見せるためにやっているんじゃないと突っ張る諸兄も多いが、街の活性化も祭を守る大切な要素になる。観光客と一緒に祭を楽しむくらいの懐の深さが必要なのかな。

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