NA.home通信 410号
31.Jan.2016

 高知県梼原(ゆすはら)町、四万十川の源流の地で、峠を越えれば愛媛県。坂本龍馬はこの地を通って脱藩したという。
 12月13日、前日に役目を終えた耐震改修の講師陣4名、高知駅前でレンタカーを借り休日のドライブを楽しむ。朝8時は前日の酒が若干残るので、下戸のメンバーがハンドルを握る。
 高速、下道で2時間弱で町に入った。建築家隈研吾氏の作品が多い。雲の上のホテル、町庁舎などがそれである。こういう機会でも無ければ来ることは無かろう。
 暖かい日だと思ったが、標高が高く寒い。雲の上のホテルが町の入口にある。10時前だけどレストランが開いていた。
 「コーヒーだけでも良いですか」。
 ガラス張りのレストランにオッサン4人、全く絵にならない。店の女性に周辺の施設を尋ねる。
 ホテルは客しか入れないが、隣のギャラリーから渡り廊下は自由に入れるとのこと。
 そのギャラリーから渡り廊下、この日は何も使っていない。使っていない施設にいくら掛けたのだ。貧乏性から抜けられない者にはこういう設計は出来ない。悔しいけど。

 町庁舎に移動、休みだけど開いていた。公民館にもなっているからだろう。
木造大断面構法の建物だ。中に職員の方が居たので、見どころから昼食を食べるところまで教えてもらった。
 向かいの資料館では、1100年展をやっていて、歴史文化を知ることが出来た。
 驚いたのは「ゆすはら座」木造の芝居小屋である。昭和23年建築で、平成7年に町庁舎の近くに移設された。
 見学自由。照明は点いていないが、わずかな自然光で見られる。桧張りの舞台と花道。客席は桟敷、舞台に向かって緩い勾配。2階席が3方にある。
 建築基準法が施行されていたら出来ないシロモノだ。昭和23年だからギリセーフ。日本一新しい木造芝居小屋だろう。
 来て良かったと心から思えた建物に出会えた。

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