NA.home通信 409号
10.Jan.2016

 仕事始めを前に伊勢神宮へ初詣に行った。
 外宮、内宮とお参りしたあとは「おはらい町」を散策。お決まりのコースである。
 三が日を外したのにすごい賑わいだ。妻入りの屋根が並ぶこの町の景観、銀行や郵便局まで合わせている。独特で美しい。でも小学校の修学旅行で来たときにはこうではなかった。
 
 崩れていたこの町の景観を何とかしようと、地元の若手建築士たちが町のほぼ中央で、三差路の角にある○福の社長にかけ合って、屋根を覆い隠していた大きな看板を取り外してもらった。
 そこからこの町の復元が始まる。条例や補助金を行政と一体となって整備し、美しいまちなみが戻るのと同調して賑わいも戻っていった。
 
 この話を聞いたのは建築士会の活動に参加して間もない30年前。建築士が自分の仕事だけではない、まちづくりに積極的に参加すべきなんだ、と思ったきっかけである。
 間もなく○福が店の向かいに「おかげ横町」というテーマパークを造った。伊勢のまちなみとは全く関係のないシロモノで、気に入らない。
 出来た端はガラガラで、肉屋でコロッケ買い、コロッケと缶ビールを左右の手に持って、冷やかしで見て歩いた。
 今ではコロッケは並ばないと買えない。この日もすごい人で、どこかで足を踏まれた。気に入らない。
 
 清酒「白鷹」の看板が上がっている酒屋がある。神宮に御神酒として納めている。この店はその前から景観を保持していた。
 まちなみの手本になっているお店に敬意を表し、白鷹を立ち飲みでいただく。そのために近鉄で来ている。
 道順として○福はその後になる。酒を飲んでからアンコの餅、体に良い訳ない。
 
 診察でヘモグロビンA1cが最高値を更新。「おかげ横町」ならぬ「おかげ血糖値」だ。気に入らない。

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