NA.home通信 404号
20.Sep.2015

 最近若者の間で「ヤバい」を良い意味で使っている。それも女の子が。
 江戸時代、矢場とはおもちゃの弓矢で遊ぶ場所で、裏で売春させるところも。時々手入れがあるところから「矢場い」という言葉が生まれた。とても女の子が使える言葉じゃない。
 
 女の子の居る店で羽目を外して、それがバレそう。
 これはヤバいで良いだろう。羽目は羽目板のことで、壁の板を外すと外に出られたところから、目を盗んで盛り上がる意味になった。
 
 建築用語から一般的になった言葉、代表は「大黒柱」か。家の中心を支える太い柱である。部屋が4つは無いと成立しない。家長であるお父さんの代名詞だが、家が小さくなり、クロス貼りの家が増えて、時代と共に消えそうだ。
 几帳面、これは丁寧に帳面を付けることではない。木材の角を加工することを面取りと言うがその種類である。普通の面取りは角を削って丸くするなど、欠け防止で行うが、几帳面は一つの角をわざわざ三つの角に加工する。専用のカンナでキチンと定規を使って施工する。そこから丁寧に仕事をすることを几帳面という。
 
 劇場のオープニング公演は「こけら落とし」。こけらとは板を薄く剥いだもので、新築時の木っ端を掃除するところから出来た言葉。
 この板を薄く剥ぐ技術は無くなりつつある。楔(くさび)を木口に打ち込み、折れないように同じ厚さに割り込んでいく。今は帯鋸に通せば、簡単に出来てしまう。
 
 楔の偏を取れば「契り(ちぎり)」五木ひろしの歌じゃない。板と板をつなぎ止める木片のこと。少しの字の違いで意味が反対になるのは面白い。
 夫婦の契りも経年ですき間が開く。そこに楔を打ち込む?、ダメダメ、つなぎ止めましょう。「子はカスガイ」で。

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