NA.home通信 398号
17.May.2015

 わが家の台所用品、使いにくいものが多い。台所に立たないヤツが作っているに違いない。
 小型のミルクパン、注ぎ口が左に付いている。右手箸を持ち、左で鍋を掴み、器に移そうとすると注ぎ口が内側にない。どーするのコレ。また、小型の片手鍋、息子が寮生活で使っていたもの。空だと鍋が自立していない。取っ手が重すぎるのだ。
 
 最も苛立っているのはフライパン。本来フライパンの形状は上が開いていなければならない。昔はそうだったし、プロ用はそうなっている。なぜ家庭用は縁が垂直なのだ。フライ返しとの相性がめっちゃ悪い。垂直の壁に対応したフライ返しを開発してから壁を垂直にしたらどうだ。
 炒め物はフライパンの壁を使って返すのだ。ハーフパイプの壁なら怪我人続出になる。その危険な壁に激突したヤツが、調理人目指して飛んでくる。俺に恨みをぶつけるな。バンクが適正角度なら、君は綺麗にジャンプできたはず。

 毎日台所に立つようになって9ヶ月。妻の陣地に助っ人の立場だったが、どうやら本丸を譲ってきた。ならば、道具を私好みに少しずつ入れ替えるか。私の城である事務所の品物は、貰いもの以外全部私が選んだもの。その点台所用品は私が買ったものがない。使いにくいのも当然である。
 使いにくさを他人やモノのせいにせず、ないがしろにしてきた自分に原因があると考えたら、なんだかスッキリしてきた。その視点に替えると、全ての事柄に自分の判断や選択がとても重要に思える。そこを人任せにすると、あとで面倒なことや不利益が自分に返ってくるだろう。
 
 フライパンの壁に激突して向かってきたみんな、俺が悪かった。最高のバンクを提供するからしばし待たれよ。


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