NA.home通信 395号
15.Mar.2015

 やらかしてしまった。
 目が覚めたときは、内海行き特急は知多新線に入っていた。
 深夜の上野間駅、上りの電車はもう無い。地理に弱い妻が来られるはずもなく、タクシーも居ない。スマホで検索するも名古屋の本社の電話しか上がってこない。半田のタクシーは来られないと言う。どうする?、歩くしかない。
 
 1時間歩いた。小鈴谷の交差点を過ぎると真っ暗になる。このあたりの道は広く綺麗になったことが余計に寂しい。
 この先はまだ長い。日付も変わった。このまま歩き続けるのか、寒風も身にしみてきた。そんな暗闇の先にぽっかりと明かりが見えてきた。黄色と青の看板、コンビニだ。
 「ここからタクシー呼べないだろうか」。
 ダメ元で店に入り、その旨を告げると、女性店員は樹脂製の置き札を手に取り店の電話機で番号をプッシュし、受話器を手渡ししてくれた。置き札には地元タクシーの電話番号が書いてあった。
 「少し時間がかかりますがお待ちいただけますか」やさしい女性の声。助かった。コンビニはこういう役割も果たしているのだと実感した。お礼の意味を込めて一番高いビールを買って、飲みながらタクシーを待った。椅子のあるコンビニでさらにありがたい。飲んで気付くと「禁酒」の札があった。
 
 家から一番近くのコンビニは最近出来た最大手の「7」の店。ここのおにぎりは、ご飯と海苔の味で食べる覚悟が要る。具が小さくて味がわからない。その点、桐ヶ丘にある「F」の店の食べ物は美味しい。特にいなり寿司はお気に入りである。味付けも好みだし、あげが裏まで回っている。
 ただこの店、入口のメロディーチャイムが独特だ。これを長時間聞いている店員はオフもメロディーが頭から離れないだろう。
 
 先日その「F」と「K」のグループが経営統合と報道された。あのいなり寿司どうなるんだろう。それが心配。メロディーチャイムがピンポンに変わっても、それは許そう。

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