NA.home通信 394号
22.Feb.2015

 電車のベンチシートでの飲食は勇気が要る。夜9時台の帰りの電車、阿久比で特急から普通に乗り換えた。
 小腹の空く時間帯、空いた車両で向かいに座った女性、30代と見た。バッグから「うまい棒」らしき菓子を出し、バナナのように剥いて美味しそうに食べる。きれいにゴミを片付け、また一本出す。パックの柄が違う。私が成岩で下りるときには3本目を食べ終わった。何本食べたんだろう。食べる姿がちょっとセクシーである。
 
 私の30代はちょっと違う。
 会議が終わり、二人で名鉄の駅に来た。半田まで一時間の旅、缶ビールを買って乗り込む。ところが予想に反してベンチシート。
 「どうする?」
 電車は禁煙だけど禁酒じゃないからと2本目の缶を開ける。向かいのおばさんに怪訝そうな顔で見られた。連れはカバンから弁当の余りを出した。さすがにそれは断った。
 
 鉄ちゃんでは無いが、強いて言うなら「飲み鉄」の私。電車の旅にはアルコールは必須である。それが快速や普通に乗りベンチシートだと困る。置く場所がないのだ。置ける場所がある席を選ばないとせっかく買った酒が飲めず、楽しさが半減する。
 その点、ローカル線のボックス席は良いね。のんびりと変わる景色を見ながら、窓台に置いて地酒をいただく。これ最高。
 
 名鉄の真昼の座席指定、車両に私のほか二人。
 前の方から「シュパッ」と缶ビールを開ける音がした。この上ない贅沢をする人が居るものだ。平日の午後、ほぼ貸し切りの車内で一人楽しむ。私なら、レーベンブロイかなんかのドイツビールをドライソーセージをかじりながら飲るところだ。どんな人が飲ってんだろう。知多半田で下りるとき、わざと前に回って見た。
 葬式帰りのじいさんが「のどごし生」を2本空けてた。
 頼むからせめて「エビス」位飲んでくれ。喪服も着替えて。

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