NA.home通信 393号
1.Feb.2015

 乗り換えは緊張する。知らない土地や経験の少ない乗り物では特にドキドキする。地方の少ない本数の列車を間違おうものなら致命的だ。
 一方東京は複雑怪奇で制覇したら名人だと思うが、列車の本数が多いので、間違ってもやり直しが利く。そうこうするうち、どこでも行けるようになる。
 
 乗り物で一番勇気が要るのは定期バス。それが外国となるとなおさらである。
 学生の時、パリの半日自由行動が一人になった。さあ、どこへ行く?ツアーメンバーの行かないところにしようと、ヴェルサイユを選んだ。パリが名古屋だとすると岐阜くらいの距離にある。パリの地図には載っていない。
 地下鉄駅の路線図で、ベルサイユ行きのバスが出ると思わしき終着駅を見つけて、地下鉄に乗り、バスターミナルに出るとそれらしいバス。
 女性のドライバーに「ヴェルサイユ?」と尋ねると「ウィ」。でもそこから解らない。紙に書かれた料金を支払うと、切符を3枚くれて、「改札機に入れろ(たぶん)」と言うので入れると「デン」と音がしてハサミが入った。あとで気づけば地下鉄・バス共通の回数券3枚入れれば良かった。おかげで、回数券がえらく余った。
 新婚旅行でまたパリに来て、余分に切符を買った仕返しをしようと心に決めた瞬間であった。
 
 先日、日間賀島から篠島へ渡った。
 南知多町から依頼を請けた空き家の調査のためで、僕らの班は日間賀島東港に渡り、1件だけの調査を済ませ、篠島で調査をしている一行と合流し、打ち上げ兼新年会をする。
 時刻表を見る限り、一旦師崎まで戻らないと篠島には行けないのかと尋ねると、切符売り場のお姉さんは
「次の船で西港に移動し、15分後に河和から来る伊良湖行きに乗りなさい」と教えてくれた。
 えッこれで篠島に行けるの?訊いてみないとわからないものだね。
 船なのに、乗り換えで目的地に行くなど、何か都会的。僕たちカッコイイ、と思っても、カモメしか見ていなかった。

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