NA.home通信 383号
29.jun.2014

 イラストの無いものは通信とは言えない。
 はがき通信の先輩、H先生のお言葉。建築士会の編集委員会で知り合って、はがき通信を出していることを知り、これくらいなら自分もできるのではとこっそり始め、そこそこ続いた頃に、先生にも送るようになった。
 デザイナーの先生なので絵はお手の物だが、こちらはそうはいかない。2週間ピッチの先輩に対し、3週間間隔と最初から勝つ気など無い。文章は書けてもイラストが描けない。それでも3週間に一度無理矢理描き、みなさんに送りつける。恥をばらまいているに等しい。
 
 H先生の文章の多くは説教か、旅行記。
 編集委員会で「人の旅行記ほどつまらないものは無い」と言いながら旅行記を読ませるのは何故か、とは思う。
 私の手本は「天声人語」、そのために朝日新聞を取っている。「上手い」、と唸るものもあれば駄作も少なくないけれど、情勢を題材に比喩も織り込みながら毎日書いているのは凄い。
 何もネタがなくて、1週間延ばしたこともザラである。締め切りがない通信だが、出さないと便秘のように苦しい。習慣とは恐ろしいものだ。
 
 H先生は500号を記念して通信のイラスト展を開いた。ペンだけで描いたほぼ単色の小品だが、これだけ並ぶと迫力がある。
 私の場合、500号まではあと7年余りかかる。もし続いたとしても展覧会は絶対にやらないので安心していただきたい。
 
 H先生の通信が587号で終焉を迎えた。3月末に来たものだ。文章にそれらしきことが書いてあったので心配していたが、先日奥様からお電話をいただいた。
 酒たばこを嫌い、歩くことが大好きだった。私を見る度に「痩せなさい」と言っていた先生、昨秋吹上の建築展で出会ったのが最後になった。
 
 今一度H先生の通信が読みたい。得意の説教でも、天国の旅行記でも良いから。いつもの素敵なイラストを添えて。
HOME   LIST    382号   384号