NA.home通信 377号
22.feb.2014

 札幌の大倉山でジャンプ台の上から見た。高所恐怖症の人なら失神する。ここから飛び降りるなんて人間がやることではない。一流選手は130mも飛ぶ。野球ならバックスクリーン直撃だ。
 この競技でレジェンド葛西選手はソチ五輪で銀メダル。たいしたものだ絶賛したい。
 しかしジャンプも半分採点競技、葛西選手は手のひらを広げて飛ぶ。これは減点なのだ。その分距離を飛ばないと負ける。それでもこの形を崩さない。
 
 女子モーグル上村愛子選手、一番速いタイムで滑って4位。なんか変じゃない?
 日本人は体が小さく体重も軽い。軽いとスピードが出ず不利である。女子では難しいカービングという技を上村選手は取得した。スキーのテールをズラさず、跳ぶようにターンすることでタイムを稼ぐ。悪雪に強く、難コースにも対応でき黄金期を築いた。
 その後あまり勝てなくなったが、私も他人事なので注目することもなく、この五輪で久々に彼女の滑りをテレビで見た。まさしく全盛期の滑りである。ところが点が低い。
 「これで25点出てたじゃん」なんで?。あとで聞いたら、頭の上下動が減点になるのだって。そんなルールあったの?ターンで跳んでるのだから動くに決まっている。上村潰しのルール変更だ。彼女の涙の意味がようやくわかった。
 
 ジャンプの話に戻る。昨シーズンは助走位置を自分で下げても加点された。今シーズンからヒルサイズの95%飛ばないと加点されなくなった。
 飛びすぎて着地の乱れる高梨沙羅選手潰しの変更と思われるが、それでもW杯で勝ち続けた。たいした17歳だ。はじめて感じたプレッシャーでメダルを逃したがそれがなんだ。ショーン・ホワイトだってメダルを逃がすのがオリンピックなのだ。
 度重なるルール変更に負けるな。日本選手たち。そして感動をありがとう。

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