NA.home通信 373号
24.nov.2013

 名曲には歌い手を選ばない曲と、歌い手を選ぶ曲があるのだそうだ。
 カバーアルバムブームでいろんな歌手が名曲をカバーしている。名曲ながらカバーされない曲とか違和感のあるものが「歌い手を選ぶ曲」なのか。
 
 BIGINが作曲して森山良子が作詞した「涙そうそう」、掛け値無く名曲である。レコ大の作詞賞を受賞した。でもたいしたヒットにならない。BIGINも森山良子も上手いし話題性はあるし「なんでだろう」と思っていたところに、夏川りみがカバーし大ヒットした。この歌声があってはじめて完成した曲だったということか。

 そのあたりが上手いな、と思うのはユーミンだ。
 売れずに悩んだばんばひろふみが年下のユーミンに頭を下げ、わずか数日で届けられたのが「いちご白書をもう一度」、間違いなく本人が歌ったらヒットしない、学生運動世代の男の歌だ。ほかにもユーミンがヒトに書いた名曲は数々ある。
 「雨音はショパンの調べ」、来日したオリジナルのガゼボが小林麻美のプロモーションビデオを見て驚いていた顔が忘れられない。ユーミンが小林麻美向けに作り直したと言って良いだろう。「赤いスートピー」これは作曲、歌詞は松本隆。「まちぶせ」は作詞作曲。石川ひとみがかわいく歌うから良いのであって、ユーミンが歌ったら、、ちょっと怖い。

 歌手を選ぶ曲の両横綱は「川の流れのように」と「人生いろいろ」だろう。前者は美空ひばり、作詞はアイドル大好きAKBのオッサン。後者は先日亡くなった島倉千代子の代表曲でハマクラさんの作曲である。両曲ともベテランになってからヒットさせた曲で、それぞれの人生が織り込まれている。他の人は歌えない。


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