NA.home通信 368号
16.aug.2013

 「ロミオとジュリエットのサントラ盤持って来たから、音楽室で聴こう」中学3年のある日のことである。
 クラスメイトのFは名古屋で映画を見て感動して買ってきたという。「僕も聴きたい」というT、二人とも学年を代表する秀才である。吹奏楽部の主将である私に音楽室に入れるだろうと迫ってくる。
 名古屋へ行くことも映画も一人では校則違反だ。レコードを持ってくるのも、ましてや音楽室に忍び込むなど。
 まあ、この二人が一緒なら大丈夫だろうと、昼休みに3人で音楽室に忍び込み、生徒がさわってはいけないステレオ装置にレコードをかけた。先生に気付かれないだろうギリギリの音量まで上げて聴いた。オリビア・ハッセーの映画である。(古ッ)
 
 Fに教えてもらったものがもう一つ、FM放送である。ウチにあるのは拾ってきて修理した真空管ラジオで、FMは聴けない。もちろんステレオもない。レコード買っても聴けない。
 思えばこのコンプレックスがオーディオに金をつぎ込むきっかけになったのかも。
 勤労学生になったので、安いけれど給料が入る。19才になると自分の部屋もできた。いよいよコンポを買う。お金がないので最初は最安のセットで、少しずつ買い換えていった。さすがに結婚を機に足を洗った。
 
 その頃の遺品が手作りのレコードプレーヤーとスピーカ、それとFM専用チューナーである。ほかはネットで買った中古品である。家を造るときにはFMアンテナを立てた。
 独身時代の遺物、トリオ(現ケンウッド)のFMチューナーは事務所にある。アンテナは家から分岐して事務所に引いた。
 現在わが家はリフォーム中である。邪魔になるのでFMアンテナは外した。事務所の屋根に移設の予定である。電気屋さんがケーブルを切った瞬間にFMが聴けなくなった。現在はネットでNHKラジオを聴いている。毎日甲子園である。飽きるとCDを聴く。やっぱり飽きる。  あー早くFM聴きてー。
 尚、話題のFは現在市内でクリニックを経営している。
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