NA.home通信 362号
7.apl.2013

 鉄ちゃんではないが、鉄道の旅が好きである。駅弁に地酒を買って車窓から移りゆく景色を楽しむ。ところがその駅弁が困難になっている。ローカル線では買えないと思った方が良い。
 
 城崎温泉で途中下車し、温泉に入って京都へ向かう。駅内にコンビニ風の売店があって駅前は土産物屋が並ぶ。「何とかなるだろう」と考え温泉に行く。
 駅へ戻る途中、酒屋で地ビールをいただき地酒は買った。しかし食べるものが無い。駅前は五時を過ぎ次々閉店。駅の売店は弁当もサンドイッチも売り切れ、結果京都まで絶食である。二時間半ディーゼル特急の揺れに空腹で耐えた。
 こんなことなら駅前の寿司屋で往きに注文してから温泉に行けば良かった。
 
 晩ご飯を食べながら東京へ向かう。味噌カツ弁当なんか食べたくないのでデパ地下を散策。
 うなぎを売っている。「うなぎで吟醸酒か」メニューが決まった。蒲焼きを買うと「たれをたっぷり付けといたからね」とお店のおばさん。
 うなぎに合いそうな辛口の吟醸酒を買う。準備万端新幹線に乗り込む。席について落ち着いたところで夕食タイム。
 「ゲッ!やばい」
 サービスしてくれたうなぎのたれがパックの外に漏れている。
 付けてくれた紙おしぼりも持っていったポケットティッシュも全部うなぎのパックを拭くのに費やす。箸も袋を拭かないと取り出せない始末。回りの乗客の目を気にしながらの作業である。
 
 大量の紙ゴミを出しながらようやくうなぎのパックを広げる。周囲の目を気にしながらのディナー、全く味を覚えていない。
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