NA.home通信 357号
16.dec.2012

 私が生まれた当時の亀崎は、衣浦大橋はまだ無く、山が海に突き出していた。
 その岬に神武天皇が降り立ったという伝説があり、神前(かみさき)神社(通称=県社)がある。その「かみさき」訛って「かめざき」になったのだろうと想像が付く。尖った崎は「洲の崎」、回り込んだ北側は「北浦」と云われ、地名で残っている。今は北浦に海は無い。
 
 海にちなんだ地名は昔海辺だったに違いない。
 緑区の鳴海は昔は知多郡鳴海町、知多湾(現在は衣浦湾)が入り込んでいて、そこまで知多半島だった。大高と鳴海は知多郡から名古屋に鞍替えをした裏切り者だ。名古屋という都会に揉み手をしているようで気持ちが悪い。
 鳴海のお祭り山車には、知多型のものがある。明らかに鳴海は知多である。名古屋は有松までだ。
 
 地名から歴史や文化、当時の地形など推し測れる。区画整理などで地名が変わるのは仕方の無いことかもしれないが、なるべく残して欲しいものである。
 半田市でも瑞穂町とか青山とか歴史も文化も関係ない町名になったところもある。瑞穂町は伊勢湾台風の忌まわしい記憶から名前を変える気持ちは理解できるが、青山は許せない。南成岩駅を青山駅と駅名まで変えさせた。青山の隣は花園町、昔は鴉根(からすね)だった。
 
 先日、プランを依頼された土地は「常滑市飛香(あすか)台」。どこだ?セントレアライン沿いに開発された地域で、市民病院の移転予定地の近くだった。以前の地名を調べると「飛猿」。「飛」だけ取って飛香台はヒドい。飛猿台とか、百歩譲って猿飛台にするとか、過去の地名を残して欲しいものである。
 宮本町に移り住んで25年、わかりやすい地名で良かった。この年越しも近くの成石神社に詣でるとしよう。

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