NA.home通信 354号
21.oct.2012

 工業高校を出て3年、電気工事の修行中にその会社が倒産したら、あなたならどうする?
 Mさんの選択は独立だった。
 高校時代に取った医療器具取り扱いの資格を生かし、電気工事と医療器具販売の二本立である。交通事故で入院中に出来た人脈をたより、医療用の消耗品から家電製品、何でも売った。
 介護保険制度が出来たので、その資格を取り、介護用品の販売・レンタルにも手を広げた。これが当たった。
 
 安定した資金が入るようになったので、誰がやっても利益が出るような仕組みを作った。今では社員24名で医療介護関連部門は動いている。朝礼はなく、勤務時間も決まっていない。一人ひとりが経営者感覚で仕事をしている。
 「私は何もしていない」とは言うが、経営管理、危機管理には相当な資金を費やし、しっかりとした仕組みを作っている。
 社員はみんな有資格者。でもそこに上下はなく、給料も同じで社長の報酬より高い。社長のMさんは会社に行かず電気工事部門を一手にこなしている。
 
 組織作りは人づくりとは言い古された言葉だが、これほど難しいものはない。Mさんは見事にそれをやって見せている。
 人生どん底をチャンスに変える。資格を取ってビジネスを広げる。儲かったらそれを維持発展する方向に資金を使う。伸びる経営者の手本である。
 年齢はたぶん私より一回りは若い。まだまだこれからだ。新規の病院に誘われて調剤薬局を展開し始めたという。
 
 チャンスの神様は前髪しかなく、どの方向から来るかも解らない。横か後ろか、隣を通り過ぎることも。そういう場合は前に回って掴まないといけない。
 私の回りもたくさん通り過ぎていったのだろうな。今からでも遅くないか。でも足腰弱っているしなー。
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