NA.home通信 349号
1.jul.2012

 私の情報源はラジオである。仕事中はFM愛知を流している。愛用のチューナーはFM専用、独身時代の遺物である。
 小室等の音楽夜話という番組が好きだった。11時45分から15分間、これを聴いて寝る。この番組が終わると、カラベリグランドオーケストラのミスターロンリーが流れてくる。日本航空提供のジェットストリームである。これを聞くとめちゃめちゃ寂しい気持ちになるので、12時に寝るようになった。今でもそうである。
 
 ラジオをテーマにした歌もたくさんある。RCサクセッションの「トランジスタラジオ」、ジュディ&マリーの「Radio」、私はカーペンターズの「Yesterday Once More」が一番である。最初ラジオで聴いて電撃が走った。すぐドーナツ盤のレコードを買ってきて何度も繰り返し聞いた。この曲は今でも英語で歌える数少ないレパートリーである。
 
 ラジオとの出会いは中学校の時、祖母が柱時計やラジオまでも庭でゴミと一緒に燃していた。なんということをする。燃え残った柱時計と真空管ラジオを拾ってきて、焦げた箱から中身を取り出して、文字盤無しの時計とむき出しの真空管ラジオになった。ラジオの電源をおそるおそる入れてバリコンを直接回してチューニングすると音が出た。
 働くようになって最初は安物のコンポ、そこから少しずつ良いものに買い換えていった。そうして買ったTORIOのFM専用チューナーである。
 その愛用のチューナーが最近くたびれてきた。チューニングが定まらない。そのため音が歪む。インターネットでラジオ放送が聞ける時代、このアナログのチューナーが寿命を迎えるのも無理ないか。
 
 思春期に少年から大人に変わり、私の人生と共にあった。長い付き合いだ。本当の幸せ教えてよ壊れかけのチューナー。

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