NA.home通信 350号
22.jul.2012

 今の事務所が出来たのは19年前、西側に小さな庭もある。自宅に庭がないのでちょっと嬉しくて、園芸店でクリとプラムの苗、シャラの幼木とアイビーを買ってきて植えた。
 クリは根付かず、シャラは日向に弱く3年で枯れたが、プラムは少しずつ大きくなり、春にかわいい花が咲くようになった。事務所のシンボルツリーである。
 
 隣の動物病院は庭が広く、植えられたビラカンサスとミモザがでかくなり一人生えのケヤキが巨木になっている。19年の年月を見るようだ。
 隣は植物にはさみを入れない。下草もほとんど取らない。植物たちもわかっているのか変な草は生えてこず、それなりの秩序を保って勢力を分けあっているようである。
 ウチはそうはいかない。アイビーは放っておけば建物を覆ってしまうし、プラムは選定しないと花が咲かない。一人生えしてきた木達も庭が狭いので枝を払わないと喧嘩してしまう。
 
 プラムは花芽を夏に準備するようで、秋口に選定したら秋に花が咲いてしまい、春の花が減った。梅雨が明けたあとに選定したらたくさんの花が咲いた。梅雨明けは炎天下になるので暑くてたいへん、イラガの幼虫に刺されないよう重装備での作業で熱中症になってしまう。
 昨年はその炎天下を避け梅雨時に選定した。それが悪かったらしく、今年は花が咲かないばかりか、幹の上の方は死んでしまったようで芽が出てこない。
 
 梅雨が明けた。選定時期が来た。どうする?。枯れた幹の上の方にキノコが生えている。やっぱりダメだ。根元で2本に分かれている元気のない方を元から切り、残した方に再生を祈ることにした。シンボルツリーは見る影も無くなった。
 
 来年の春は事務所開設30年の節目である。プラムが再生して花を咲かせるか、一人生えの山桜が隆盛を誇るか。まるでわが事務所の将来を暗示しているようだ。
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