NA.home通信 344号
18.mar.2012

 先日のブラタモリ、新宿副都心の地域冷暖房設備を紹介していた。
 超高層ビル群の前にこの設備を造ったのは凄い、驚きだった。40年前なので最新の設備ではない。蒸気タービンで冷凍機を回している。燃料は都市ガスだ。冷房は電気でなくてもできる。この例がそれである。
 
 どんなエネルギーでも運動のエネルギーに変えれば冷房もできれば電気も起こせる。エネルギーはどこにでもある。棚の上の荷物だって位置のエネルギーを持っているし、私自身も全身から熱を無駄に放ちながら生きている。これも立派なエネルギーである。その小さなエネルギーをどう集め、どう利用するかが問題なのである。
 
 スターリングエンジンというものをご存知か。200年前に考案されたものである。
 気体を暖めたり冷やしたりして、膨張収縮する力を回転の力に変える。当時全盛で爆発事故の多かった蒸気機関に対して、爆発のない安全なエンジンとして造られたが、大きなエネルギーを取り出すのには大型のエンジンが必要となり、ガソリンエンジンなど内燃機関に押された。
   燃料を使う場合でも燃やすだけだから安全で静かだし、温度差があればそれだけで動くので、温泉でも、太陽熱でも、焼却炉でも何でも熱さえあれば良い。最近では温度差が10度以下でも動くものがある。これなら体温で回る。
 
 小さな温度差はエネルギーが小さい。だからそんなに大きな力には代わらない。でももともと捨てていたエネルギーを拾い出す、というところに意義がある。
 熱源があるところに置いて、発電や冷凍機などに使うことは十分に可能である。古くて新しい技術として最近大注目されている。
 太陽光発電なんか止めて、太陽熱でお湯を溜め、スターリングエンジンを回せば、夏の冷房も電気も家庭で使う分ぐらいはできそうだ。
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