NA.home通信 334号
14.aug.2011

 日常、バスに乗ることはほとんど無い。観光バスではなく定期バスにである。
 今回の旅行ではこのバスにかなり乗った。乗ったバスは4社、6本、二日で7時間半くらい乗っていた。行き先は十津川温泉。
 名古屋9時発の近鉄特急で大和八木駅に11:20頃着き、乗り換え時間は25分。バス停は南口だが北口で見つけた店でお弁当に柿の葉寿司を買いバスに乗り込んだ。
 
 このバスは八木駅から五條市、十津川村を抜け、和歌山県の新宮まで行く。所要時間6時間、日本一長距離を走る定期バスである。平日のためか乗っている客は少ない。五條で10分、谷瀬の吊り橋で20分の休憩がある。十津川温泉までは4時間半だが、休憩があったのと次はどこどこというアナウンスを聞いている内に着いてしまった感じである。
 
 この旅行の計画には大問題があった。
 それは十津川温泉から新宮に出る方法である。新宮に出ればJR特急で帰れる。例のバスは3往復だが、十津川を通るのは全部午後三時過ぎ、和歌山県側の熊野交通は来ていない。十津川村観光協会のHPには熊野本宮まで徒歩、と書いてある。冗談ではない。
 電話で問い合わせると村営バスが8:35発で熊野本宮行きが1本だけあるという情報を得た。
 
 朝食の後、旅館のワゴン車でバス乗り場まで送ってくれた。
 村営バスは何路線かあって、瀞峡行きのバスが運転手だけで出て行く。乗りたい衝動をこらえ、予定通り本宮行きに乗った。
 始発から乗ったのは私ら二人だったが途中で乗り降りする人が何人か居た。30分ほどで本宮に到着。ここからはバスの便はよい。10時丁度に特急バスがあることを確認して、熊野本宮を参拝。
 その後はバスを3本乗り継ぎ新宮から那智の滝へ行き、那智大社を参拝して大門坂を下り、またバスで勝浦へ出て温泉に入ってからJR特急で帰った。
 
 定期バスには予約はない。予定通りに行ける保証もない。この緊張感が良い。そう実感する旅であった。
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