NA.home通信 332号
5.jul.2011

 家での焼き肉パーティー、来る人数がはっきりしない。その場合、来そうな面子を思い浮かべて人数を予想し、肉をどれくらい買うか決める。
 10人ほどを見込み、一人が200gとして2kgと見積もる。今度は財布と相談、2.5kgの肉と野菜、焼きそばも買っておく。
 2kgの見積で2.5kgだから安全率は1.25、12人来てもなんとかなりそうだ。肉が足りなくなったら焼きそばでごまかす。でも15人も来たらお手上げである。

 災害の備えは似たところがあって、来るものが想定しにくい。想定が高ければお金がかかるし、低いと安くなるが、不安がつきまとう。
 建物の耐震基準は、建築基準法で決まっている。言い換えれば、建物の大きさ(来る人数)×地震の揺れ(一人200g)の数字が決めてある、と考えれば良い。
 でもその数値は最低基準で、経済的に「最低ここまで」が決めてある。ザッと説明すれば、震度5強までは大丈夫、6弱で被害が出始める。最低これくらいは用意しておきなさい、という数値である。

 木造の建物を重い屋根と軽い屋根に分けるという乱暴な分類で、建物には個性があるので、その建物の耐震性能はもう少しきめ細かく算定する必要があろう。
 また瓦屋根でも土が乗っているものは全く想定していない。そういう建物は基準以上に高めておく必要がある。
 最近、土葺きの瓦屋根に太陽光パネルを載せている家を見る。
 10人分しか肉を買っていないのに自分から15人招いた、と同じである。聞けばほとんど耐震チェックもせず載せているようだ。 
 地震という客人はたちが悪い。こちらの準備が足りないと暴れまくる。そういう客人におとなしく帰っていただくにはキチンとした備えが必要である。
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