NA.home通信 316号
18.jul.2010

 新品の液晶画面などに貼ってあるビニール。貼ったまま使うか、剥がすか、人によりそれぞれだが、私は剥がす派である。
 以前、名古屋駅地域の地域冷暖房の施設を見学にいったとき、真新しい事務所に真新しいコピー機が置いてあった。そこに貼ってあったビニールを係の人に見つからないように「びーーっ」と剥がした。何ともいえぬ快感である。
 話を聞いて「先生、わーるいなぁ」と言う若い大工は、親方の携帯のビニールをこっそりめくっておいた。すると親方は、
 「誰がこれを剥がした!!」と怒りまくっていたそうだ。
 その親方は貼っておく派だった。
 
 新車のシートにかぶせてあるビニール。あれを剥がす作業は気持ちが良い。中古車ではあり得ない、「新車を買ったぞ」という優越感に浸れる。
 金具に引っかかって、きれいに取れなくて少し端っこが残った時には、何ともスッキリせず、一度外して取ろうかとも思う。
 そのビニールを剥がさずに乗っている人が居る。静電気が起きそうで気持ちが悪い。色が変わって、お尻の辺が少し破けて、それでもめくらないのか。フロントガラスをたたき割ってめくりたい衝動に駆られるが、拳を握りしめて我慢する。
 
 ビニールを剥がす作業、これは新品を買った者だけ味わえる儀式なのであろう。建物は養生を全部剥がし、綺麗に掃除して建築主に引き渡す。それを一部残しておいたらどうだろう。例えば、玄関ドア、施主にビニールを破ってもらって、引渡儀式にするとか、「新品らしさ」を演出すると良いかもしれない。
 便器とか便座にビニールを掛けておくのも良い。最初にビニールをめくって腰を下ろすのは快感だろう。
 まさか便座のビニールをそのままに使う人は居ないと思う。もしそういうトイレに遭遇したら、私は迷わずビニールを剥がし最初に座る。


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