NA.home通信 285号
24.sep.2008

 あらゆる物の偽装問題が絶えない昨今である。「偽」はどこまで許されて、どこからダメなのか、結構難しい。
 「俺は戦中戦後、一生分のサツマイモを食べたから、死ぬまで絶対に食わん」と言っていたOさんの話し。
 日本料理の店で食事をし、カウンターで店の主人の仕事を見ていた。何をやっているのかという問いに、
 「サツマイモを栗の形に切っている」と答え、「甘く炊けば栗より美味しいよ」。
 「今栗だと思って食べたのがそれか」愕然としたOさん。以後、「あの大将は腕が良い、俺を騙してサツマイモを食わせよった」と言いふらしている。
 さらにその大将、「絶対に自分で釣った魚は食べない」と豪語する釣り道楽に、釣って持ってきた魚を使って全くわからないように料理してフルコースで食べさせた。
 「今日の料理は特に美味しかった」と言うので「そりゃ全部あんたが釣ってきた魚だもの」
 
 スポーツにも騙しのテクニックはある。野球なら隠し球、相撲は猫騙し、トリックプレーはいろんな競技にあるし、これらはルールで認められている。でもドーピングはいけない。料理でも同じ、正々堂々ルールに則って人を騙すのは良いが、ルール違反はいけない、ということなのか。
 しかしルールは時代と共に変わる。それがややこしい。建築で言えばアスベストみたいな物だ。外壁、屋根、床、内装、配管まで何にでも使われていた。そればかりでない、新建材のほとんどが建築業界ごとメーカーに騙されていたと言って良いだろう。
 今もまだあやしい物がいっぱい出回っている。そのあたり早くルール改正を願いたい。


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