NA.home通信 217号

7.sep.2004
 東京は新宿西口から少し北に行ったところに焼き鳥横町という、何とも言えない場所がある。
 10人ほどで店を決め入ると2階に通された。と、フロア係が日本人ではない。おそらくフィリピン人か。
 セットメニューで頼んだら、焼鳥屋なのに刺身が出た。ところが醤油の小皿がない。ここは東京だ、田舎モンと舐められまいと、粋な言葉を選んで、文句を言う。

 「生魚を下地なしで食えというのか、この店は。俺たちゃ猫じゃねぇぞ」…

        (決まった!)、ところが全く意を介さない。

 「つまりだな、醤油の皿を持ってこいということだ」

 ようやくわかったようだ……と思ったら大きな皿を持って来たぞ。
「こんな皿じゃ、醤油の相場が狂うだろ」……「こういう小さな皿があるだろう」ここまで言ってようやくわかった。
 刺身のあとは味付けのない野菜の山が出てきた。

 「俺たちゃウサギじゃねぇんだ、味の付いてねえ野菜は食えねえだろ」

 …誰か洒落のわかる店員を呼んでくれ。「ドレッシングを忘れていないかと言ってんだよ」
 
 名古屋の栄に中国人ばかりの料理屋がある。ここも腹が立つ。
 ビール5本とジュース1つ注文したらビールを1本だけ持ってきた。
 「おい、ビールは5本だろ、あと4本もってこいよ」と言うとすぐ持ってきた。
 気が付くとジュースのグラスが5個も置いてある。
 「おいおい、ジュースは1つしか頼んでないぞ」
 というと、急に日本語がわからなくなってしまうのだ。もちろん伝票にはビールもジュースも付けてある。
 レジの中国人女将はさらにしたたかで、
 「そうですか、申し訳ありません。次回おこしの時にそれ以上のサービスをさせて頂きますから」とにこやかに言われると、それ以上何にも返せない。

 フィリピンの姉ちゃんにいくら粋な言葉をかけても無駄で、中国人女将のしたたかな会話に白旗を揚げているようではまだまだということだな。

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