NA.home通信 181号

21.jul.2002
 トビハゼという生き物をご存じか。
 魚のくせにバッタのように浜辺をピョンピョンと飛び回る。有明海のムツゴロウに似ているが二回りくらい小さいし、泥の中には居ない。
 ハゼ釣りをしていると石の上に上がってきて、馬鹿にしたツラで見ている。腹が立つので捕まえてやろうとしても、すばしっこく逃げられる。
 もう30年以上も浜に降りていないので見ていないが、絶滅危惧種に指定されているとか。寂しい話である。

 海の汚染は深刻なところまで来ている。
 その大きな原因の一つは家庭排水であることは言うまでもない。中でも最大の汚染源は合成洗剤である。
 「みそ汁一杯流すとどれだけの水で薄めないと魚が住めない」
 なんて宣伝されているが、海の浄化能力を考えれば、人間の食べかすなどは全然問題になるレベルではない。
 それよりどれだけ薄めても分解されない合成洗剤の方が圧倒的に問題なのだ。それを知ってからわが家では10年くらい合成洗剤を使っていない(98号参照)。
 お中元などでいただいたら訳を書き添えて送り返している。ところが最近、香典返しでもらって困っている。
 まさか返すわけにいかず、人にあげるのは良心にふれるし、捨てることもできない。放射能廃棄物のように地中深く埋めるしかないが、とりあえず床下に貯めておくことになろう。

 人間は環境を犠牲にして繁栄を手に入れた。
 でもそろそろ自然界は反撃に転じてきたように思える。
 とはいうものの、クーラーのきいた部屋でアイスクリーム舐めなめこの通信を書いているようじゃたいしたことはない。
ほらほらまたトビハゼが馬鹿にしたツラでこちらを眺めているぞ。

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