NA.home通信 175号 |
24.feb.2002 |
独立した年の夏の終わり、身重の妻と赤ん坊の娘を連れて買い物に行ったユニーの食堂で、中学の同級生K子と出くわした。 「覚えてる?」と話しかけてきた。忘れるはずもない事件があった。 それは夜間高校通学に慣れてきた晩秋のこと、早めに登校した下駄箱の前で下校間際のK子と出会った。 二人のほか回りに誰もいなかったので、この際と思い、高校受験直前に彼女に告白し玉砕した親友Nの恨みを晴らそうと、詰め寄った。 ところがである。 K子は木製の下駄箱を”バン”と叩くと長いコンパスでツカツカと攻めてきて私を見下ろすと、 「アンタ、解ってんの?あのとき私はアンタのことが好きだったんだから。女の気持ちがわからない人ね。このオタンコナス!」と怒鳴ると、向きを変え走り去った。
青天の霹靂というやつか、全く知らなかった。
この頃の私は仕事が無く半ば失業者で、太った体にボサボサの髪、ヨレたTシャツにジーパンといういでたち。
私にも美少年時代があった。そのころにバレンタインの制度があればどれだけチョコがもらえたか、などと過去の栄光にしがみつくのも見苦しいが、ともかくオタンコナスは困る。早く返上したい。
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