NA.home通信 176号

17.mar.2002
 この頃、設計者は裏方で日の当たらない仕事だな、と痛感する。
 半田商工会議所が主催の店舗を選ぶ賞で、私の作品が昨年度まで4年連続入賞した。
 でも全く知らされず、半田市報で知るか、同業者から「おめでとう」と言われ、「はあ?」てなモンで教えられるくらいなのだ。
 まあ、それくらいは良い。今回の一件はさすがに寂しい。

 愛知県主催の「人にやさしい街づくり大賞」にNGOの「ふわり」さんが選ばれた。
 それはたいへん喜ばしいことだし、ふわりさんの活動が高く評価されてのことではあるとは十分理解している。
 がしかし、その施設を設計した私は「何にも無し」なのだ。表彰して欲しいとは思わない。でもせめて発表の中に施設設計者を書き添えて欲しいものだ。
 4段抜きの新聞記事のどこを読んでも出てこないし、この賞の表彰式と受賞者のシンポジウムがあることを、建築士会の会報で知るだけなのだ。
 建築士会の仲間にも私の設計だということは知らされない。
 主催が建築指導課というのがまた腹が立つ。

 普段、確認申請を出すと図面の隅をつついて
「一級建築士がそんな考えで良いのか」とネチネチ嫌みを言われて、図面や書類を何度も訂正させられているのだ。
 クソーぐれてやる。

 私は住宅・店舗建築家だ。大きな施設は設計しないし、この仕事が好きでやっている。
 賞が取りたくて仕事をしているわけではないから、設計者が自ら応募する建築賞みたいなものに出したこともないし、出す気も無い。施主に喜んでいただければそれで満足なのではある…。

 ま、それで良しとしよう。せめてこの通信の読者だけは理解者だと信じて、頑張って裏方に徹するとするか。

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