NA.home通信 164号

8.jul.2001
 ほとんど毎晩出かける私だが、その日は選手交代。
 買い物に行き、晩御飯を作って息子と食べた。
 火の前に立ったあとのビールはことさら美味い。冷蔵庫に冷えている3缶のうち2缶飲んだ。残るは1缶、どこを探してもストックはない。「まあ、よかろう」とその時は思った。

 テレビを見ていた息子は番組が終わると部屋に戻った。
 ナイターにチャンネルを変えると、中日巨人戦は上原の完封ペースで面白くない。他に見るべき番組はない。つまらないので風呂支度をするが、替えたばかりの給湯器はスイッチ一つで5分後に入れる。

 風呂から出て、冷凍庫に移した至極の缶ビールとグラスを出し、程良く注ぐと渇いたのどに流し込む。飲めない人をこれほど「気の毒だ」と思う時はない。
 でも次の瞬間、冷酷な現実が、、、わが家のビールはこれで終わりなのだ。といって酒を飲む気がしない。今夜は誰が何と言おうとも「ビール」なのだ。
 しばらくまんじりともせず、膝を抱えて負け試合の中継を見ていたが、いたたまれず、小銭とビニール袋をポケットに突っ込んで200m先の酒屋へ向かった。

 神社の杜を抜ける風は心地よい。シャッターの降りた店先に自販機の明かり、希望の光にも見える。
 ところが、ビールの自販機が無いではないか。ちょっと前まであったのに。
 仕方がないのでもう300m先の酒屋まで足を延ばすが、そこにも無い。どうやら酒屋の前にビールの自販機を置くのは無くなったらしい。そういえばニュースであったような。
 こうなるとコンビニだが、さらに300m余り先になる。毎日のウォーキングで歩くのは良いが素足に草履履きなので足の裏が痛い。やむを得ず引っ返すことにした。自転車にすればよかった。

 家に戻り足の裏を見ると水膨れができていた。ビールは買えず、ドラゴンズは完封負け。あーつまらん。冷や酒をあおって早寝した。

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