NA.home通信 441号
26.Nov.2017

 手術は1時半頃から、点滴を打ちながら控える。
 気付いたのは春先、メガネ屋で右目の異常を指摘された。正確な方眼が漁網のように歪んで見えるのだ。
 忙しさにかまけ、ようやく眼科に行ったのが10月23日。検査の結果、網膜上膜という病名が付いた。網膜の内側に余分な膜が張っている。放置すると酷くなると言われ、手術に踏み切った。
 
 看護師さんは、すぐ終わるようなことを言っていた。たぶん白内障の手術と間違えている。
 予定より早く1時15分頃手術室に入った。強制的にまぶたを広げられ、麻酔を打たれ、手術が始まった。
 明るい丸い光が三つ見える、手術灯だろう。先生は何かやっているし、いろいろな指示も聞こえる。それが何かはわからない。
 それにしても長い。麻酔が追加された。心電図と血圧計が付けられ、動くことは出来ない。左目はカバーされ周りは見えない。
 何分経ったろう、30分は過ぎたと思う。見える景色が変わった。丸い光から全体白く光る画面になった。レンズが開いたのか、眼球の中に光源が入ったか。網膜に直接光が当たっているのだろう。透明の液体が流される。緑色の液体は薬か。左下から道具が出てきた。たぶん右上から入れているのが逆さまに見えるのだろう。
 鈍い痛みが走る。途中で千切れた。それを数回繰り返した。
 「全部取れました。仕上をしますね。」
 何やるんだ、サンダーでも掛けるのか。歯医者のような音がして、目の中をグリグリ、痛い!痛い!!。
 
 丸い光が戻った。室内の照明も点いた。控室に戻ったら1時間以上経っていた。看護師さんの言葉が間違いだったとわかる。
 ファインダーのように網膜に写ったものを見ているということは知識として知ってはいたが、本当にそうなんだと、実感した。
 なんでこんなことが可能なのか、人体は不思議である。

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