独身の頃、わが家はM新聞を読んでいた。
兄が勤めていたホテルが名駅前Mビルにあり、給料袋に無料購読券が入っていたからである。
ただで読んでいて申し訳ないのだが、その新聞、面白くないのである。
あるとき、兄がホテルを辞めることになった。
ということは、M新聞を読まなくて良くなる=自分の好きな新聞が読める。母と兄に許しを得て、新聞選びをはじめた。
その結果、サザエさんの新聞に変えた。その頃は4コマは終わっていたが、日曜版に「サザエさんのうちあけばなし」なるマンガが連載されていた。のちに「まー姉ちゃん」としてNHK朝ドラになった長谷川町子の自叙伝である。
熊谷真美主演で田中裕子の出世作だ。古ーーっ。
結婚して所帯が別れてもその新聞と付き合っている。
長い付き合いでそこから知ったこと、出会ったもの、少なくない。なかでも小説の挿絵、少女の絵でとても刺激的だった。作家の名前は「智内兄助」、刈谷市美術館で展覧会が開かれたので見に行った。1995年のパンフレットが残っていた。
今その美術館に娘がアルバイトに行っている。何か縁を感じる。
最近新聞を読まない人が増えている。若い人に多い。
彼らの言い分は、「テレビやラジオでニュースは知るし、知りたい情報はインターネットで見るから」。新聞もスポーツ欄とテレビ欄を見るだけ。地デジになったら番組表が表示されるのでテレビ欄も見なくなったとか。
はたしてそれで良いのか。新聞はニュースだけじゃなく、生活を豊かにする一助になっていると思っている。それに気付かない人生は寂しいものだ。
この通信、新聞1面下のコラム「○声×語」を手本にしているがまだまだ足元にも及ばない。
何よりボキャブラリーが不足している。もっと新聞を読まないとダメだね。