NA.home通信 108号

                 24.mar.1998

 この3月末で事務所開設以来、早いもので満15年になる。

 当時私は28才で、長女の明日香が生まれたばかり。設計事務所の給料は安く、いろいろ払うと残るのはわずかで二人生活するのがやっとで、図面描きのアルバイトをして得た金で電話を引いたり、車を買う頭金を貯めたりしていたので、子供が産まれるとなると即、生活苦に陥る。
 妻が独身時代に貯めた金は少しはあったが、そのうち無くなってしまうだろう。そこで独立を考えたが、家もコネもない私が仕事をとれる自信はない。
 このまま勤めて飢え死ぬか、独立して飢え死ぬか、答は2つにひとつ。独立すればひょっとして食っていけるかもしれないし、今なら収入が無くても半年ぐらいは生きていける。

 独立が決まり、東海市の安アパートに住んでいた私は、半田市内に恰好の借家を見付けて移り、事務所兼住宅として新たな1歩を踏みだした。
 独立したばかりは仕事はない。思いもよらず貰えた退職金でパソコンを買い、まずは勉強。春に開業し暑くなる頃にはパソコンも武器になっていたが、らしい仕事はまだ続かない。テレビで高校野球を第1試合から第4試合まで見て、夜プロ野球を見る。一日二日はいいが、三日目ともなるといたたまれなくなるので、思い直してまたパソコンをいじる。
 ヒマでろくな仕事もなかった独立当時だったが、今思えば懐かしい。その頃勉強した構造計算もパソコンも今では戦力となっている。「営業能力のない技術屋は暇なときは勉強」と信じながらも、暇のない日々を過ごすこの頃。そろそろ仕込みをしないといけないかな。


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