NA.home通信 193号

7.apr.2003
 気が付けば事務所開設20周年の記念日が通り過ぎていた。
 昭和58年3月30日が初回登録日なので、3月30日が記念日になるのだろう。まあ、誰も祝ってはくれないだろうし、逆にパーティなんか開こうものなら散財することになるのでちょうど良いか。

 事務所を開くにはまず器が大事と、東海市の安アパートを引き払い、2倍以上の家賃で半田市柊町の鉄筋コンクリート造土地付きの借家に引っ越してきた。もともと半田市生まれの半田市育ち、半田以外で開業する選択肢は全くなかった。
 早いものでもう20年、28才の青年は48才のオッサンになってしまったが、一向に生活は楽にならないし、有名建築家にもなっていない。これはどうしたことだろうか。

 開設したばかりの設計事務所の多くが工務店回りをして、いわゆる確認申請の代願業務を取る。とりあえずそれで食べているうちには…、と思うのだろうが、それは設計の仕事ではないと全くやらず、設計事務所の下請けで食いつないだ。
 その後いろいろやったな…、ほんとに。いくら土地付きでも借家ではダメだと金もないのに土地を買い、家を建てた。月々10万円もリース代払ってCADを入れた。隣の土地を借り事務所を造った。
 なにかやるたびに借金が増え、そのたびに仕事も増えた。その分間違いではなかったわけだが、他に方法は無かったのかなと思う。
 建築士会の支部長になり新しく独立する人に接する機会が多い。
 相変わらず自宅の1室での開業ばかり。たしかに独立するのに金はかからない。しかしそれで良いのかな?と思うのは年寄りの冷や水というやつだろうか。

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