NA.home通信 158号

26.Feb.2001
 わが家の醤油は地元の「亀甲富、蔵じまん」という1升860円くらいのもので、たいへん美味しい。
 ところが、亀甲富は醤油生産を中止してしまった。通りかかったら蔵を壊していた。また地場産業の醸造が一つ減る。それより、何より、愛用の醤油が無くなるのは困る。とりあえず買い占めようか。このところ家族会議の中心議題だ。また新たな醤油を探さなければいけない。武豊の豊醤油の製品から試そうか。

 しかし、料理人でも醤油をはじめとした調味料を吟味しない人が多いのに驚く。
 以前時々行っていた店で赤だしの味噌を妻が言い当てると、店の大将が知らずに味噌を使っていたことが解った。それからその店には行っていない。

 建築士会の青年部長時代、碧南のメンバーにおばさんが一人でやっている居酒屋に連れて行かれた。
 「煮付けがうまい」というので煮魚を作ってもらったが、魚は良いが甘辛く煮てあるだけで、特に工夫がない。何より醤油が全国シェアのKM社のもので、鼻につく。
 おばさんに感想を聞かれたので、けなすわけにいかず、ウソも言えないので、まず、使っている醤油を言い当てた後で、
「醤油は吟味した方が良いよ」とアドバイスしたつもりだったが、
「何が良いの」と聞き返してきた。
 そんなことは自分で研究したらどうだ。料理人だろ。と思いながら、
「美味しい醤油を使えば、味を薄く出来るよ」と言うと
「味が辛いか」ときた。
 当たり前じゃあねえか、佃煮じゃあるまいし。
 食べたら、はらわたが甘露煮になってしまうわ。

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