NA.home通信 264号

11.jul.2007
 夏は建築士試験のシーズンである。
 愛知県では、毎年4千人以上の受験者があり、300人ほどの一級建築士が生まれる。7%前後の合格率である。なぜ合格率がそんなに低いのか、それは勉強しないヤツがたくさん受験するからなのである。
 ハウスメーカーでは受験日が有給休暇になるのは当たり前、出張扱いで手当の出るところもある。
 建築士になろうとする連中は基本的に勉強が嫌いである。本を読むことはさらに嫌い、文章を書くことはそれ以上に苦手なのだ。
 建築士会の編集委員をやっていてたいへん苦労した。編集社を選ぶときに縦書きで提案してくる会社があったが、「3行読むと寝ちゃうから横書きでないとダメ」と却下した。

 その勉強嫌い、縦書きの本は受け付けない本能と感性だけで生きている輩が一生に一度、真剣になって勉強するのが建築士試験なのである。
 そして建築士以上にもならない。建築士しか能力がないと言っても良い。黒川紀章止まり、と思っていただければ十分である。因みに安藤忠雄は建築士ではない。
 
 そんな人間たちが自分からすすんで悪いことに手を染めるなど考えられない。
 今回の建築士法改正では、いかにも建築士が悪いことをやるがごとくになっている。怠けてきた役人の反省は全く盛り込まれていない。
 
 構造計算をチェックする第三者機関ができた。
 構造の専門家を多数集めるだけでなく、当然事務屋が必要である。気がつけばまた天下り機関の誕生である。
 名古屋でも開所記念のパーティーが開かれたそうだ。
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