NA.home通信 219号

17.oct.2004
 建築士会連合会の委員になり、東京へ行くようになった。
 場所は田町なので品川が便利だ。最近の新幹線はほとんどがのぞみ、品川に止まるのは全部そう。速いね、名古屋から1時間半で着く。いままでは缶ビール片手に弁当食べて、居眠りして目が覚めても熱海あたりだったのが、横浜を通過することになる。
 先日は名古屋で弁当買う時間が無く、車内販売を待ってようやくサンドイッチと缶ビールを手に入れたときには浜名湖を過ぎていた。
 ここから始めると寝る時間もないくらいだ。

 学生時代、新橋まで一人で鈍行乗り継いで行ったことがある。
 時刻表片手に乗り継ぎ最適な列車を探して東海道線をのぼる。静岡で乗り換えると終点は東京だが新橋に着くのが2時、これでは1時半の開始の説明会に間に合わない。熱海始発の急行に乗り換えることにした。
 ボックスに一人で座っていると男性3人組が乗ってきた。熱海での研修の帰りのようだ。一人旅の気楽さで声を掛けるとすぐうち解けた。
 もうじき車掌が来る。急行料金はいくらだろうと言うので、時刻表で調べる。
 「600円ですね。湯河原からだと500円だけど。しまったな、湯河原で乗り換えれば100円儲かった」というと、3人は俺たちが証言してやるからそうしろといってくれた。
 ワーワー盛り上がっていると車掌が来た。
 湯河原から乗り換えたと言うとめちゃくちゃ疑う。同じグループだろうというのだ。そんなわけは無い切符の発行駅が全然違う、今ここで会ったのだ。3人もちゃんとそういう。まだ疑う。仲良くしゃべっていたのがおかしいらしい。ついには首をかしげながら渋々500円の急行券を手渡した。
 100円儲けるのにだいぶかかった。

 のぞみのスピードではそういうふれ合いは無い。
 昼間の車内はほとんどがビジネスマン。パソコンを広げるかビジネス書を読むか寝ている。ビール飲んでるのは俺だけ。
 静かな車内に響くリップを開ける音。あーサラリーマンでなくてよかった。

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