NA.home通信 186号

3.nov.2002
 久々に亀崎の県社、神前神社の本殿を見た。
 下諏訪町の教育委員会の方々を案内してのこと。目的は奉納してある彫刻を見ていただくことだが、奥深い本殿をのぞき込まれて、興味を示された。
 でも実は文化的価値の少ないものなのだ。以前、火事で燃えてしまって、鉄筋コンクリートで建て直したものなのだ。
 設計した本人が言うんだからそんな確かなことはない。
 ただ、そこらにある鉄筋候のものはやめようと、かなり本物にみえるように造ったのは確かだ。
 できてみると、評判は上々で、寄付が増え、金の飾り金物が付き、立派になった。金物のデザインも僕たちでやった。

 もう10年近く前の話になるが、事務所の後輩から電話が入った。
 「あんた、えらい仕事を残してくれたね」
 唐突なのでよく訊いてみると、それより10数年前に計画して無しの礫だった神社の新築の話が決まったという。
 区画整理をするその地域には神社が無く、新しくできたまちに是非神社を、という話だった。
 「神明社」だというので県社と同じような神明造りで計画したのだが、サッパリしすぎるとのことで、流れ造りで描き直した。それより隣に建つ区民館の仕事が欲しかったので、そちらの計画もした。

 十数年経ち区画整理が終わり、区民館もよその設計で建てられたので神社の話は無くなったのかな、と思っていたのだが、その仕事は死んで無かったらしい。
 さすがに請ける設計事務所が無かったのだろう。事務所に残る後輩の仕事になったのだ。
 「ご苦労さん、頑張って。一生残るから」
 N建設がハマったとか噂も聞いたが、神社は立派にできた。
この近隣市町で今も最新のこの神社は、私が計画したものを後輩が形にしたたいへん由緒正しい(?)神社なのだ。是非、半田市役所あたりに行ったら東に足を延ばして参拝してきていただきたい。
 御利益間違いなし。でも商売繁盛には自信なし。

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