NA.home通信 161号

6.may.2001
 小鳥を飼っていた少年時代の話。
 羽替わりでみすぼらしい十姉妹(ジュウシマツ)の幼鳥をつがいで1羽150円で買ってきた。羽が生えそろうと"猩々"という品種で美しい成鳥になった。特にオスは体も大きくよくさえずり、たいへん立派なのだけど、どうもタネ無しのようでメスは有精卵を産まない。繁殖の望み無く、やむを得ずオスだけ手放すことに。同じ小鳥屋に持っていくと350円で売れた。おそらく店では700円くらいで売るのだろう。

 今度は"桜雀"らしき鳥を手に入れた。
 「らしき」というのは図鑑の絵と違い、桜色の冠も胸の縞模様も無くぼんやりとしたいろあいなのだ。メスなのかなと思いながら、それでもまあ一羽ではかわいそうなので、十姉妹の雌を一緒にしておいたらオスだったらしく5羽の雛が巣立った。
 その間の子達は成長するとなんと桜色の冠や胸の縞模様が出てきた。
 親より桜雀らしいのだが、悲しいかな繁殖力のないエフワンというやつだ。飼っていても仕方がないので、売ると一羽500円になった。
 小鳥屋も知らないらしく、「ちょっと待ってね」と店の奥に入りしばらく出てこない。おそらく図鑑を見ていたのだろう。
 その後も仲のいいこの夫婦はエフワンを産み続け、他の小鳥の飼育費を稼ぎ出してくれた。同じ店でバレるとまずいので、あちらこちら店を変えたのだが、どの店も桜雀をよく知らないので良い値がついた。

 どうやら世の中、売れる売れないは中身より見てくれで決まる傾向が強いようだ。私も見かけ勝負に出ようか。
 そういえば今度総裁になった小泉さんはそこのところはまことに良い。あとは中身がどうか、というところか。独身のようだし。

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