2分で金山に着くとその少年も降りた。
太鼓を持っているので尋ねると、日米プロ野球の帰りだという。
日本が勝ったという少年に「ドラゴンズファンか」と聞くと広島カープだと、渾身の勝負球をバントで転がされたような答えが返ってきた。
その直後、「この前知多中に来て下さった成田先生ですよね」と今度はド肝を抜くピッチャー返し。
冷や酒3杯が利いてモタついた。
「この前のお話、良かったです。みんな言ってます」と揺さぶりをかける。
さすが広島、攻撃にスキがない。
「おーそーか、あのとき真ん中に座っていた子だな」
「いいえ、真ん中じゃありません」
完敗だ。顔は覚えているのだけど、そこまでは覚えていない。
先日、チラシ広告でセミナーの案内をすると、メールで10年くらい前の教え子から参加の申し込みがあった。
大学出て建築大工の後取りのはず、何の目的だ。
当日、来て顔を見ると「あーそうだこの顔だった」と思い出すけど、まちで会ったらわからないだろう。
昔、授業で言っていたのと建物が違うので確かめに来たという。
そんなことは忘れたわ!人間は成長するし。
本業の傍ら、10数年も非常勤講師などいろんなことやってるので、教え子やら何やらが多い。
困るのはむこうは顔を知っているけどこちらは忘れているか、全く知らないことがままあることだ。
「40過ぎたら自分の顔に責任を持て」と言われるが難しい話だ。
これから出かけるときは変装でもするか。